春の桜を楽しむ人々。
満開を少し過ぎた桜は花びらを湖面に満遍なく散らす。
春の日差しが湖面を彷徨う花びらの薄いピンク色を際立たせる。
人が桜で春を楽しんでいた時、もう一人春を楽しむ者がいた。
風に靡き水面を彷徨った花びらが湖面に顔を出していた流木に堰き止められ溜まっていた。
その流木にひょっこりと乗りあがり甲羅を干す亀。
居心地のいい場所を見つけた様子でじっと動こうとしない。
満開の桜の花を楽しんでいるのだろうか。
心地よい気温と暖かい日差しを楽しんでいるのだろうか。
それとも必死に生き延びるための日々の一場面か。
いずれにせよ亀も亀なりに春を楽しんでいるような気がして少し嬉しい気持ちになる。