渋滞の高速道路の上空、遠くに横2列に並んでいる蛍のような発光体が見える。
UFOといえばUFOだという例のあれだ。
北米中西部シカゴ郊外にあるオヘア空港は、世界で有数の離発着数を誇る大空港だ。
郊外からダウンタウンに向かう途中の渋滞の車中から見えるこの2列に並ぶ蛍のように見える発光体も右手前方方向にあるオヘア空港へのアクセス待ちの飛行機たちだ。シカゴは空も大渋滞である。
それを知るまではUFOといえばUFOだというわけである。
このホタルのような光で思い出すのが、初めてシカゴでホタルを見たある6月の夕方のことだ。
その日、夕方道端を歩いていると一瞬火の粉が足元に舞ったように見えたので咄嗟に軽く手で払った。しかし、周りを見ても火の元らしきものは何もない。
不思議な気持ちで夕暮れの小道脇の茂みのあたりに目をやると、そこここにふわりふわりと光るオレンジの光が見えた。ふわっと光り、消えていくという何だか幻想的な光景。なかなか目視で光を直視することはできなかった。
ちゃんと見ようと思い、腰を据えて光を目で追っていると、やっとその一つを見ることができた。当時はシカゴにホタルがいることを知らなかった。その時はどうもホタルのようだと直感的に思ったが確信を持たないまま帰路についた。
次の日、同じ場所で少し遅い時間によく観察してみると、その日はかなりの数の光が車道にまであふれ、そこここで光り、消えていくのが見えた。これはホタルに間違いないと心の中で確信した。
初めて見た日は、まだ時間が早く、本格的に光を放っていなかったのかもしれない。ただ、それはそれで余計幻想的でよかった。それに気づくと、その後は毎日同じ道でホタルの大群を見ることができた。
後に、シカゴのホタルは有名ということをシカゴアンから聞いた。郊外に行くともっとたくさん飛んでいるところを見ることができるところもあるそうだ。
日本では、蛍は清流のようなきれいな水のところでしか育たたないというような印象だったが、シカゴの蛍はどこで育っているのだろうか。
UFO的な光にせよ、ホタルの光にせよ、光関係でのシカゴの良いところを発見したのは間違いないなかった。