地下鉄の駅で見かけた公衆電話。
今では少し珍しい存在となった。
懐かしく覗き込むとそこにこっちを呼んでいる笑顔があった。
公衆電話。
昔はどこにでもあるのが普通だった。
毎夜、家族の目を気にしない会話のためにせっせと電話ボックスに向かった。
今ではなかなか見かけなくなった。
目覚ましいテクノロージーの進歩。
ブレイクスルーを迎えた次世代テクノロジーの発展によって日常の当り前から特殊な場面のものになっていく事はよくある。
いつの間にかなくなるものもあれば、ある日博物館で出会うようなものもある。
今でも緑色の新しいデザインで時代に馴染もうとしていると思うと少し切ない気もするが粛々と与えられた使命を全うしようとしている。
過去に残された瞬間。
交差した人生。
首を少し傾けて見つけたその笑顔はいつのまにやら心に封印した懐かしい気持ちに語り掛けていたのかもしれない。