語る写真の試み

遠い思い出の夏



遠くに夕暮れが迫りつつある真夏の遅めの午後。

大きな湖のほとりに差し掛かる。

暮れかけても尚刺すような強烈な日差し。

火傷をしそうなくらいのアスファルトから立ち上る熱気。

暮れ行く夕焼けの空に必死に抵抗する真夏の青い空。

空はどこまでも広く雲が遥か上空の空気の動きを伝えている。

水平線まで広がっている水面の光を反射して輝く姿が行き交う車の間に見え隠れする。

すべての景色がオレンジ色を含み始めた太陽の光にゆっくりと照らされ始めている。





北米中西部シカゴの夏は短い。

故に人々は夏を楽しみつくそうとするのかもしれない。

あらゆる思い出の素が目一杯に積み上げられる。

強烈な夏の気候が脳裏に残る夏の印象に拍車をかける。

それでも短い夏が終わるとすぐに冬が来るのを皆知っている。

強烈な夏の印象はある日に吹く寒い風と共に一気に思い出に変わる。

季節はダイナミックに刻々と移り行くが、行き交う人々はいつでも平常運転の様子。