語る写真の試み

触れなくてもいいよね



ぱっと目に飛び込んでくる黒いクールなバス。アメリカでよく走っているいわゆる黄色いスクールバスを黒に塗り改造したものだ。

シカゴでアンタッチャブルと聞けば、かつて幅を利かせたマフィアのことをイメージする。そういうもののゆかりの地を巡るツアーバスかもしれない。





インドでアンタッチャブルといえば、明確に何のきまりもないが、漠然とヒエラルキーの最下層以下と考えられている人たちのことを指すようだった。道でその集団に出会った時、あれはアンタッチャブルだから見てはいけないと言われた。ないものとして扱うというような意味だったかもしれない。時代が変われり、人々の意識がグローバルとなり、物事を知る人が増えていけば、言う側言われる側の両面でそういうこともなくなっていくと思う。触れてはいけない、この意味ではなくした方がよい。

シカゴの夏の日の昼下がり、ダウンタウンの程近くを黒いツアーバスが走る。そして、行き交う車。昔の写真を見ている気分。

前に進むためには小さいことを気にしない人たち。クールな黒いバスは傾いたまま走り、行きかう車はヘッドライトが片方消えている。それでも、確かに街は前に向かって進んでいる。そこには触れる必要はなかったかもしれない。