長い冬の恐ろしく寒い日々が突然過ぎ去り、木々が勢いづいて芽吹く。
至る所で花々は咲き乱れ、通りにも彩どりの満開のチューリップが並ぶ。
それは、寒さが過ぎた直後に急激に訪れた夏の陽気に、シカゴには春と秋がないというまことしやかな噂が噂ではなかったとある種の感動を覚えていた矢先の出来事であった。
“Windy City” Chicago。
これは侮れない。
穏やかな夏のような春の日だったはずが、突然大粒の雹が勢いよく降り注ぎ、寒い風が吹きすさぶ、正に、そんな一日があった。
シカゴが「Windy City」と呼ばれるようになったのは、口数の多い政治家のことを揶揄されて呼ばれたのがはじめだったらしい。
ただ、この日は、政治家の軽口ではなく、正に「風の街」という言葉のイメージ通りの日だった。
アメリカには想像を超えるような適当さ感じる時もあるが、シカゴでは、こと、寒さについての天気予報は要チェックということを言われていたが、この日、身を持って知ることとなった。
なぜ、ここでは天気予報があんなに充実しているのか。
また、なぜ、いつもCLTVの画面の右下には、時間とともに気温が表示されていたのか。
日々募る小さな疑問に、その日、恐らく正しいだろう回答を得ることができた。
備えあれば憂いなしである。