語る写真の試み

ありがちな夕暮れ



ビーチリゾートの夕暮れ、間もなく日が沈む。水平線に近づきながら空を染めていく強烈な落日を時間を忘れたまま眺める。ありがちな景色。

どこかで見た空の色のグラデーション。どこかで見たシチュエーション。何かの映画か、ビンテージのアロハの柄か、無名のアーティストの絵画か。思い出せないが確かにそのイメージは脳裏に焼き付いている。





常夏の島ハワイ。白いストレッチリムジンで秘密のビーチに乗りつける。ブランド物、お土産、ショッピングモールでの買い物。アサイボール、美味しいアイス、ステーキ、ロコの食事。ホテルのプールでひと泳ぎ。街に出て銃を撃ってみたか。果たしてマグロは釣れただろうか。

夕食前、一日の遊びに少し疲れ、のんびりと海を見がてらビーチを散歩していたのかもしれない。しばし足を止め、刻々と顔色を変える南国の夕焼けの空を眺める。

この色をどこでみたか思い出させないまま、この瞬間を心にそっとしまう。