荒野を行く。
ひと夏の冒険。
どこまでも続く砂漠の荒野。
どこまでも続く土の道。
どこまでも広く青い空。
この土地に入ってから前にも後ろにも誰もいない。
見渡す限り動くものは何も見当たらない。
この世に自分だけしかいないような錯覚に捕らわれる。
真夏の日差しは容赦なく砂漠の荒野を照りつける。
過酷な環境の大地に申し訳程度の草が生えている。
砂利交じりの乾いた土の道の砂利を巻き上げるタイヤの摩擦音だけが孤独に響く。
延々と続く道を延々と走っても目的地はまだまだ遠い。
北米西部のワイオミングの砂漠のような荒野の先に目的地はあった。
何気なく写真に収められた景色を後で見て初めて特別な風景だったと感じる。
本当は過酷だったはずなのは分かっているが、ノスタルジーが記憶を美化しているのも分かる。
蘇った遠い日の冒険の記憶が脳裏を刺激し、もう叶わぬかもしれぬ新たな冒険への羨望の念に駆られる。