通りに表と裏がある。
ストリートに名前がついている普段使いの表通り。
表通りと同じくらいの数だけ名のついていない裏通りがある。
名もない裏通り。
街のタクシーは表通りしか通らない。
タクシーの地図に裏通りはないのかもしれない。
もちろん街の広い範囲の通りをほぼすべて覚えているタクシー運転手は裏路地の存在を知っている。
そこを抜ければ近道になることもあることも知っている。
だが、お願いしても絶対に通らない。
何故なのか。
裏路地は人気が少ない。
巨大なゴミの収集車が通っているのをよく見かける。
ガレージの出入り口になっていることも多い。
素人もプロも含めスカベンジャーハントをしている人々も見かける。
それ以外は外から来た人の姿はあまりない。
その地域をよく知っていれば個人的には抜け道などによく使うが、危なそうな地域では危なそうな人がちらほら見える時があるのでそういう時は絶対に近寄らない。
何かしらの理由で使い分けられている。
人間の世界の表と裏を比喩的に映しているような気もする。
本当の理由はよく分からない。
ただ、何かあってからでは遅い。