誰もいない広大な湖。
周囲を眩ます自己主張の強い太陽。
夕暮れが近づいてもオレンジがかった強烈な日差しが何もない空間を容赦なく射す。
湖面が夕暮れの太陽を照り返す。
未だ蒸し返す空気。
味覚に重く迫る夕暮れの夏の濃い空気がどこか懐かしく、そして、幻想的な風景を作る。
北米西部ユタ州にあるソルトレイクは塩分の多い湖だ。
夏の日差しに照らされて水分が蒸発し、更に潮の濃度が高まる夏。
水も空気も塩気が濃い。
干上がった湖のほとりには延々と乾いた塩の結晶がついた砂浜が続く。
塩分で多くの生物は生きていくことはできない。
多くの生物にとってはいわば死の世界のようでもある。
強い日差しのある景色からは特徴的な夏の音が聞こえてくる。
塩湖の特殊な環境のせいなのか、広大な北米の空のなせる業なのか、それとも夏へのノスタルジーの影響か。
人知れずしても、その瞬間は静かに時に刻まれていく。